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51章は構造(Structure)である。
飛行機の構造はセミモノコック構造と呼ばれる
縦横に飛行機の輪郭を形作ったフレームに
スキンを張りリベット付けした構造をしている。
厳密に言えばもっと細かく分解されるが
ここではこの程度の説明にとどめておく。
この構造にすることにより
飛行中や離着陸時などに発生する
大きな荷重に耐えられるようになっている。
飛行機の材料は時代とともに進化してきた。
もちろんモノを飛ばすのだから軽いほうがよい。
ただ当然、高速で飛び離着陸するのだから
それに耐えうる強度もないといけない。
基本的に高強度の材料は重いから
技術者は様々な知恵を駆使して
材料の改善に取り組んできたに違いない。
1960-70年代は複合材(Composite Material)は
ほとんど使われていなかったが
50年たった現在、B787やA350では
材料の約半分に複合材が使用されている。
機体重量が軽くなるとどうなるのか。
ある一定の燃料を入れると航続距離が伸びる。
従来東京からアメリカ東海岸までダイレクトに行くには
B747やB777などの大型機に乗るしか方法がなかったが
中型機であるB787でも直行が可能となった。
ちょっと話が変わってしまったので元に戻るが
51章には構造修理についても少し触れている。
例えば写真のように構造にクラックが入った場合に
どのように修理していくかということが簡単に書いてある。
ただ構造修理については別途構造修理マニュアル
(Structure Repair Manual:SRM)というものがあり
そちらの方に詳しいことが書いてある。
クラックに限らず、凹み(デント)や
内部剥離が発生した場合の損傷許容基準や修理方法など・・・
また機会があればこちらも説明したい。
▲航空整備士になりたいあなたに▲
2014年12月28日早朝にインドネシアのジャワ島東部で
消息を絶ちその後墜落が確認されたエアアジア8501便。
乗客は155人、乗員は7名が搭乗していた。
犠牲者のご冥福を心よりお祈りいたします。
▲飛行機事故にまつわる関連本▲
まだ墜落の原因は不明であるが
原因究明にはブラックボックスの発見が鍵になると報道され
ついに2015年1月11日に回収されたとのニュースがあった。
ここで言うブラックボックスとはそもそも何だろうか?
Wikiでは以下の説明がなされている。
内部の動作原理や構造を理解していなくても、
外部から見た機能や使い方のみを知っていれば
十分に得られる結果を利用する事のできる装置や機構の概念。
転じて、内部機構を見ることができないよう
密閉された機械装置を指してこう呼ぶ。
要は、テレビのリモコンのように
中の機構は複雑で技術者や一部の人にしかわからないけれども
それを知らなくてもユーザーは利用できる・・・
そんなイメージでしょうか。
航空業界におけるブラックボックスは以下の二つがある。
①操縦室音声記録装置(CVR: Cockpit Voice Recorder)
②飛行データ記録装置(FDR: Flight Data Recorder)
②については31章で説明した。
http://aircraftmaint.iku4.com/31%20indication-recording/ata%2031%E7%AB%A0%20-%20indicating%20-%20rec
ご覧の通り、色はブラックではない。
①はコックピットの音声通信やアナウンスが記録される。
②は機体の飛行状態がデータとして記録される。
従って詳細な原因究明には②が欠かせない。
例えば以下のようなデータが記録される。
・飛行中の高度
・対気速度
・機首方位
・垂直加速度(G)
・エンジンの推力
・操縦舵面の動き
・時刻(UTC)など
従ってFDRが発見されデータが復元できれば、
いつ、どこで、何が起き、その後どのような軌跡を描いて
墜落したかが解明されることとなる。
これまで、エンジンでアイシングが発生したとか
急激な上昇があったとかいろんな憶測が飛び交っているが
個人的には飛行中に雷に打たれ機体が破壊されるなど
致命的な事象が発生したのではないかと思っている。
もし何か危険な事象が発生しその後も操縦を続けれいれば
何らかの緊急信号を無線を使って地上に送信できるはず。
管制との交信を含め外部への情報送信にはいくつかの方法がある。
しかし緊急信号を受信したとのニュースは流れていない。
これは①のCVRも発見されればすべて明らかになるだろう。
いずれにしても早い原因究明と再発防止を願う。
▲航空整備士になりたいあなたに▲
49章は補助動力装置(APU: Auxiliary Power Unit)。
写真のように機体後方テールコーン内に装備され
機体に電気と圧縮空気(Bleed Air)を供給する。
APUと動力装置とはいうものの
メインエンジン(70章で説明)とは大きく違う。
エンジンは機体を前に進める力(推進力)を得るが
APUでは得られない。
またAPUには油圧を供給する機能もない。
wikiでは油圧も供給すると説明されているが
私が知る限り民間機ではないと思われる。
ではAPUは活躍するのはいつかというと
基本的に地上に駐機しているとき。
飛行中はAPUを使うことはほとんどない。
ここで基本的に・・・と書いたのは
飛行中でも電気系統や高圧空気系統で不具合があれば
APUでバックアップする場合もある。
通常の運航でAPUが最も活躍するのは
エンジン始動のときである。
基本的に機体が出発する直前は
APUによって機体に電気と高圧空気が供給されている。
その電気によって客室内のライトなどがつき
高圧空気によって空調(エアコン)も確保される。
飛行機に乗って出発してすぐ
エアコンが切れ急に静かになるときがある。
まさにそのときがエンジン始動が開始されたとき。
エアコンに使用していた空気源をエンジン始動に切替えた合図。
エンジン始動については36章参照。
http://aircraftmaint.iku4.com/36%20pneumatic/ata%2036%E7%AB%A0%20-%20pneumatic
その後エンジンの騒音が響いてくるはず。
エンジンが定常運転になったら
APUからエンジンに電源が切り替わる。
それに気づいたことがある方も多いと思う。
近年、燃料費の高騰でAPUの使用時間を減らし
地上動力装置(GPU: Ground Power Unit)の使用を
奨励している場合が多い。
(2014年12月現在、原油価格は下がっているが)
*AGP社のHPに詳しい説明がある
http://www.agpgroup.co.jp/agp/airport.html
地上駐機中にはケータリングや機内清掃を含め
様々な作業が実施されるが電気や空調が必要である。
これらを供給するためにGPUの電気を使ったり
21章でも説明したが地上のエアコン設備を使ったりしている。
http://aircraftmaint.iku4.com/21%20air%20conditioning/ata21%E7%AB%A0%20-%20air%20conditioning
そして機体出発の5分程度前にAPUを始動させ
エンジン始動に備えている。
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