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普段、みなさんが旅行・出張・帰省などで乗る飛行機。安全に快適に目的地へお客さんを運ぶために、多くの人が業務に携わっています。航空会社ではパイロット、客室乗務員、整備士・・・、その他にも、手荷物を預かり貨物室に乗せ取り出す人、機内食や飲み物を準備する人や搭載する人、パイロットと無線交信を行う管制塔のスタッフ、いろんな人がいる。その中から特に整備士の観点からお客さんではなかなか知りえない情報を提供したいと思います。
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24章は電気系統(Electrical Power)。

一般的にボーイングやエアバスなどの
民間機で使用される電気には2種類ある。

交流(AC:Alternating Current)
直流(DC:Direct Current)

それぞれ用途によって適切なものが使用される。
定格は以下の通り。

・交流
115VAC、400Hz
・直流
28VDC

交流電源は、一般に機体の各エンジン(ENG)に発電機が装備され、
飛行中に不具合があったときや地上での電気使用のため
APUにも発電機が装備されている。

また飛行中にこれらに不具合があったときのバックアップとして
RAT(Ram Air Turbine↓)も胴体に隠されている。


RATは飛行中にENGとAPU発電機がNGになったときしか使われないので
滅多に活躍の機会がない。

地上ではAPUの他にも地上設備の電源が使用される。
空港によっては電源設備が地面に埋め込まれていたり
専用車(GPU:Ground Power Unit↓)の電源を使用する場合もある。


直流電源は、車と同様にバッテリー(Battery)があり
APUの始動などに使用される。

また交流(AC Power)を直流(DC Power)に変換する
TR(Transformaer Rectifier Unit)も装備されている。

電気系統全体図は以下が参考になる。(Airbus Technical Notes)

 
青い部分が直流、赤い部分が交流を表しており
発電機(GEN:Generator)で発電した電気をBusに集めて
そこから各システムユーザーに分配されていく。

家庭の電気も発電所から変電所を経て配電されるが
それと同じようなイメージかな。。。

冗長性を持たせるためAC/DCそれぞれいくつかのBusがあり
より重要度の高いBusはEss(Essential)となっている。

ここで言う、重要度が高いとは、
緊急時に十分な電源がなくても最後まで使いたいもの。

例えば、乗客が楽しむ映画などのモニター電源よりも
乗員用のコックピットディスプレイや無線通信機器は
最後まで残しておきたい。

従って、ENGやAPUの発電機に不具合がある場合、
RAT(Emerg Gen)やBatteryの電気がEss Busに集められ
重要度の高いシステムへと送られていく。


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23章は通信系統(Communication)。
飛行機はいろいろなところと通信を行っている。

機体と外部の装置(地上やその他の通信局など)、
機内ではパイロットと客室乗務員、整備士(地上のみ)、乗客・・・

だからパイロットや客室乗務員による機内放送も
通信系統の一部となる。

また乗客が飛行中に楽しむことができる
音楽やビデオ放送、ゲームなども通信系統である。

最近、大手航空会社で始まったWifiもそう。

機内wifiに関しては、以下の日経パソコンの記事が参考になる。
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120824/1060864/

通信系統には主に以下の機能がある。
それぞれについては何かの機会に説明したい。

超短波通信(VHF Communication)
短波通信(HF Communication)
セルコール(SELCAL:Selective Calling)
エーカーズ(ACARS:Automatic Communications Addressing and Reporting Sysytem)
フライトインターホン(Flight Interphone)
サービスインターホン(Service Interphone)
機内放送(PA:Aassenger Address)
衛星通信(SATCOM:Satellite Communication)

では、機体と外部の装置の無線送受信はどこでやっているか?
それは機体のいたるところについているアンテナである。


電波を送受信するアンテナ通信用だけでなく航法用も含め
機種によっては30個以上あるようだ。
(送信用と受信用が別々にあるものもある)

気象レーダー(Weather Radar)
ローカライザー(Localizer)
グライドスロープ(Glide Slope)
ATCトランスポンダー(Transponder)
距離測定装置(DME:Distance Measuring Equipment)
電波高度計(Radio Altimeter)
方向探知機(ADF:Automatic Direction Finder)
マーカービーコン(Marker Beacon)
VHF通信
HF通信
VOR(VHF Omni Directional Radio Range)
衛星通信(SATCOM)
TCAS(Traffic Collision Avoidance System)
GPS(Global Positioning System)
Wifi

最後に23章で一つだけ通信系統っぽくない物体がある。
それがスタティックディスチャージャー(Static Discharger)。


写真のようにWingの先端や、ElevatorやRudderなどに多数ある。

飛行機は飛行する際、空気などとの摩擦で静電気を生じる。
やがて静電気は蓄積されあるレベルを超えるとコロナ放電が発生する。
(冬の乾燥した日にビリッとするイメージ)

これが無線通信を阻害するため
Static Dischargerによってチョロチョロと放電している。

離着陸中に電波を発する電子機器をOffにしなさいと言われるが
これも目的としては同様である。


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22章は自動操縦(Auto Flight)。

オートパイロット(Autopilot)とも呼び
略してオーパイと呼んでいる。

読んで字のごとく、機体を人の手によってではなく、
機械装置により自動に操縦すること。

目的は乗員の負担軽減と確実な操縦。

現代の航空機の操縦システムの上では、
空港から出発して次の空港に向かうまでの
巡航・アプローチ・着陸など、

出発から到着までほとんどの段階で、
自動操縦システムが用意されている。

ただし、離陸だけは現在でも手動で行っている。


コックピットにおいてフライトコントロールパネル
(Flight Control Panel↓)で希望の方向や高度などを設定すれば
あとは設定値と現在の値がゼロに近づくように機体が動く。


またオートスロットル(Autothrottle)との連動によって
エンジンの推力調整が可能となり、速度も設定できる。

近年ではシステムも高度化して
飛行管理装置(Flight Management System/FMS:34章)で
入力された飛行計画に従った方角・高度の飛行が可能。

では具体的にどうやってコントロールしているのか?

以下、オーパイによってラダー(Rudder)が動くまでの
シグナルの流れを示す。他の舵面も同じ原理。

パイロットの設定値(Pilot Commands)と
センサー(Sensors)で検出したラダーの現在値を比較。

これらをコンピューター(Autopilot Processor)で
最適になるようにサーボ(Servo)を作動させることで
ラダーをコントロールする。


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