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21章はエアコン(Air Conditioning)システム。
Environmental control systemともいう。
ここからようやく飛行機のシステムらしくなってきた。
エアコンシステムの目的は
乗客乗員に快適な居住環境を与えると同時に、
搭載電子機器の冷却を行うこと。
快適な居住環境を説明する前に、そもそも
飛行機はなぜ高高度を飛ぶかについて説明したい。
航空機は低高度よりも高高度を飛行したほうが
消費燃料が少なく、悪天候時でも比較的静穏である。
また騒音の観点からも高高度の方が地上での騒音は少ない。
しかし、高空は温度が低く、気圧も低いため、
人間にとっては非快適である。
というより3万-4万フィート(10km以上)となると
気温摂氏-50度以下、気圧は地上の1/4以下となり
人間は生きていけない。
また急上昇、急降下による気圧の変化率が大きくなると
人間に不快感を与えてしまう。
従って、温度や気圧を調節することが必要である。
では、どうやってこれらを実現しているのか?
飛行中、エンジン(ENG)またはAPU(補助動力装置)で
高温高圧の空気(ブリードエア)を発生させ
エアコンや防除氷(Anti-ice)などの空気源としている。
この高温高圧空気をパック(Air-con Pack or ECM Pack)で
断熱膨張させ冷却し、除湿した後、設定温度になるように
高温空気と冷却空気を混ぜ合わせる。
その混合空気をフィルターで清浄した上で
コクピットや客室などに送り込まれる。
*写真の空気の流れは下(ENGやAPU)から上(機内)へ、
途中の扇風機マークがPackを示す。
客室からは見えないが、機体には下の写真のような
ダクトが張り巡らされ高圧空気を運んでいる。
このままでは空気のインフローばかりで機内が膨れてしまう。
そこでアウトフローバルブ(Outflow Valve↓)の開度を調節し
機体からの流出量(アウトフロー)をコントロールすることで
機内の気圧を調整している。
電子機器の冷却については
実際に冷却空気を機器に吹き付けるタイプもあれば
機器の熱い排気を機外に排出するタイプもある。
また夏の暑い日、駐機中にエアコンが必要な場合、
APUを作動させ空気源を確保しエアコンを使用することが可能。
ただ昨今、燃料費の高騰によるコスト削減の観点から
可能な限り地上ではAPUを使わない航空会社が増えている。
写真のように地上のエアコン設備からダクトを介して
機体に冷却空気(冬は暖かい空気)を導くこともできる。
ただし、日本では設備が充実した主要空港だけだと思う。
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20章からは機体システムに入りますが
この章は一般的な作業の集まりです。
詳細は整備士のバイブルでもあるグリーンブックを参照。
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それぞれのシステムの作業に共通の作業、
例えばボルト・ナットの締結や安全線(Safety Wire/Lockwire)のかけ方
トルクのかけ方(Torque Loading)や
材料やサイズに応じた標準トルク値など、
また接していない2箇所の導通をとるボンディング(Bonding)方法や
その試験方法など、
家庭の電化製品にもついているものもあるが
製品と地上をつなぐ接地(Static Grounding)手順など。
マニュアル内での使われ方としては、
例えば電源系統(24章)の部品を取付ける際に
標準的なボルト・ナットのトルクをかける必要があれば
その当該タスクから20章のTorque Loadingを呼び出す。
そうすればマニュアル内での繰返しの記述が避けられるし
マニュアル作成側も使い回しにより作業量を大幅に削減できる。
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12章はサービシング(Servicing)。
飛行機を運航しているといろんなものが消費され
定期的にそれを補充しなければならない。
例を挙げると、車と同様に燃料の給油が必要。
またエンジンや油圧などのオイルの給油もある。
写真はA380のエンジンオイルの給油作業(高い作業台が必要)。
手洗いなどの水の補充も必要だし、
トイレの汚物の処理も必要。(これもServicing)
またタイヤや客室ドアの非常作動(スライド)などには
窒素が充填してあるがその補充も当てはまる。
定期的に行われる作業だけでなく
寒冷地で必要な防除雪氷作業もServicingに入る。
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