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普段、みなさんが旅行・出張・帰省などで乗る飛行機。安全に快適に目的地へお客さんを運ぶために、多くの人が業務に携わっています。航空会社ではパイロット、客室乗務員、整備士・・・、その他にも、手荷物を預かり貨物室に乗せ取り出す人、機内食や飲み物を準備する人や搭載する人、パイロットと無線交信を行う管制塔のスタッフ、いろんな人がいる。その中から特に整備士の観点からお客さんではなかなか知りえない情報を提供したいと思います。
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ATA27章は操縦系統(Flight Control System)。

機体の様々な操舵面を動かすことにより機体を制御し
飛行経路を制御する系統である。

機首の上げ下げ(Pitch)を制御する昇降舵(Elevator)
機首を左右に向ける(Yaw)を制御する方向舵(Rudder)
飛行機を左右に傾ける(Roll)を制御するための補助翼(Aileron)
が機体姿勢を3軸方向に変化させる操縦翼面であり
主要操縦翼面(Primary Control  Surface)と呼ぶ。

またこれらを補助したり、揚力を発生させたりする目的で
スポイラー(Spoiler)、フラップ(Flap)、スラット(Slat)、
ピッチトリム(Pitch Trim→水辺安定板を動かす)などが
一般的に使用されるが、機種毎に異なる。
(↓wikiのB727の概要図)


近年、機体が大型化・高速化・コンピューター化されるにつれ
これまでケーブルなどの機構(Mechanical Linkage)を操舵していたものが
コンピューターや電線を介して操縦翼面を制御するようになっている。
これをフライバイワイヤ(Fly-By-Wire)と呼ぶ。
 

機械的な機構だと磨耗劣化などにより調整や潤滑などが必要であるが
Fly-By-Wireとなるとそのような手間は省ける。
(自転車のチェーンは錆びたり、緩んだりしますよね・・・)

操縦翼面の作動力は油圧や電気によるものが多くなってきている。
このあたりは29章の油圧で説明したい。


▲航空整備士になりたいあなたに▲

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26章は防火系統(Fire Protection System)。

防火系統は大きく二つの機能に分けられる。
・火災検知(Fire Detection System)
・火災消化(FIre Extinguishing System)

まずはFire Detection Systemから。

エンジンやAPU、貨物室(Cargo)などに装備された
センサー(Fire/Smoke Detector)で火災や煙を検知し
パイロットに警告するようになっている。
(↓Boeing Aero Magazineより)
 

これを受けてパイロットは
コックピットで他のセンサーからの情報(Parameter)を確認し
本当に火災が発生しているかどうかの判断をする。

必要であればFire Handleを操作し、火災消化を行う。
上の写真ではFire Handleに二つの矢印がついているが
実際にエンジンには二つの消火器が準備されており
初期消火では消えなかった場合にもう一つが使われる。

Cargoにも二つの消火器が準備されている(↓写真)。
右側の消火器の下には左側にはないちょっと複雑な装置があり
これは左の消火器で完全消化できずに火が燻っている場合に
チョロチョロと長時間消化剤を出して火災の広がりを防ぐもの。


これはETOPS(双発機による長距離進出運航)にも関わってくるもので
別途機会があれば説明したい。

また客室内にも火災発生時に使用できる消火器が装備されている。
トイレ(Lavatory)には煙探知機(Smoke Detector)が装備されているのと

ゴミ箱の中に小さな消火器も隠されている。

トイレで乗客がタバコに火をつけると警報システムが作動するが
びっくりした乗客が慌ててゴミ箱にそのタバコを捨ててしまう。
そんな時にゴミ箱の中の熱に反応して消火器が作動する。
(これは1つのシナリオです)

で、このゴミ箱にはもう一つルール(Regulation)があって
ゴミ箱の入れるところ(Waste Flap/↓写真右)は密閉されるタイプ。


つまりゴミ箱内で火災が発生した場合に
密閉して外部から酸素が入ってこないようにしている。

従ってこのWaste Flapはスプリング力で閉じるでしょ。
たまにゴミが引っかかって開いていますが・・・。


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25章はEquipment and Furnishings。
機体内装品と思っていただいていい。

大きく以下のように分類することができる。
・コックピット(Flight Deck)
・客室(Passenger Compartment/Cabin)
・荷物室(Cargo Compartment)
・非常装備品(Emergency Equipment)

25章のコックピットの大きな装備品として
乗員の座席(Pilot Seat)がある。


意外にこの座席は大きいために
コックピットと客室の間にあるドアから入らない機種がある。

そんな場合はスライド式のコックピット窓を開けて
座席を出し入れする。(当該機種のマニュアルに要領が記載)

客室の大きな装備品としては乗客用座席がある。
(Passenger Seat/業界用語ではPAX Seat)


客室床にレールが走っててそこにしっかりと固定してある。

その他にはトイレ(Lavatory)、ギャレー(Galley)があり、
2年程度の周期で行う重整備では全部取外す場合もある。


客室(Cabin)が空っぽになるとこんな感じになる。


荷物室は大型機では貨物室になっておりコンテナを積むが


小さな飛行機は手荷物を積むだけだったりする。


胴体を輪切りにするとこんな風になっているんですよ。
いかに空間を有効に活用しているかがわかると思います。


非常装備品で最も乗客に馴染みあるのがLife Vestである。
Cabin Attendantがいつもデモをやっていますよね。


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某航空会社で整備士をやってます。
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