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普段、みなさんが旅行・出張・帰省などで乗る飛行機。安全に快適に目的地へお客さんを運ぶために、多くの人が業務に携わっています。航空会社ではパイロット、客室乗務員、整備士・・・、その他にも、手荷物を預かり貨物室に乗せ取り出す人、機内食や飲み物を準備する人や搭載する人、パイロットと無線交信を行う管制塔のスタッフ、いろんな人がいる。その中から特に整備士の観点からお客さんではなかなか知りえない情報を提供したいと思います。
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30章は防除氷雨系統。
機体に雪や雨の付着を防いだり取り除いたりする。

飛行機は摂氏マイナス50度以下の上空を飛ぶため
当然ながら飛行中に着氷することがある。


飛行機が飛ぶためには揚力という上に引っ張る力が必要だが
この揚力は翼(Wing)の空気の流れにより発生する。

もし雪や氷がWingに付着すると気流が乱され
適切な揚力が発生しなかったり、左右の揚力のバランスが崩れ
操縦不能に陥ってしまうこともある。

またPitot/Static Portなどのセンサーに着氷すると
適切な計測ができず、誤指示につながってしまう。


飛行中の着氷は非常に危険なのだ。

このイラストはある機種の防除氷雨系統概要である。
それぞれ機種によってHeating Areaなどが異なるが大体こんなもんである。
 

HeatingにはEngineやAPUのBleed Air(高圧高温空気)を使う方法と
電熱線など電気を使った方法とがある。

一般的にBleed AirによるHeatingは
Slat (Wing Leading Edge)やEngine Inlet Cowlに

電熱線によるHeatingはセンサー類や
風防(Windshield)、水系統(Water & Waste:38章)関連
で使用されている。

また車と同様にWindshieldにはワイパー(Wiper)が装備されており
乗員の視認を妨げないように雨天時に使用される。


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ATA29章は油圧(Hydraulic Power)。
みんなハイドロと呼ぶ。

目的はフライバイワイヤ(Fly-By-Wire)でも述べたが
機体が大型化して手動では機体を制御できなくなったため。

ショベルカーなどの重機でも油圧が使われているが
大量の土を扱う場合はスコップよりも効率的ですよね。

ではそもそも油圧作動油(Hydraulic Fluid)は何か?
大型機では一般にスカイドロールというものが使われる。
リン酸エステル系の合成油である。


紫色をしたいかにも体に悪い液体。
手は荒れるし、目に入ったらすぐに水で洗わないといけない。

油圧システムの概略はざっと以下の図のようになっている。
 
リザーバ(Reservoir)がハイドロタンクになっており
エンジン駆動や電動のポンプで加圧され作動油を供給。

操縦翼面(Flight Control Surface)や脚(Landing Gear)などを
アクチュエータ(Actuator)を介して動かす。


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ATA28章は燃料系統。

そもそも燃料タンクはどこについているのでしょう。
大部分は主翼内にあり、機種によっては
水平尾翼(Horizontal Stabilizer)に装備していたりもする。


尾翼タンクの目的は、航続距離を延ばすのはもちろん、
主翼と尾翼タンクの燃料移送を行うことによって
気流に対して最適な機体姿勢になるようにして
燃料消費を効率的に行っている。

給油(Refuel)はみなさんも空港でよく見かけると思いますが
給油口にトラックからホースをつないで行っている。


システムに不具合があった時のために
主翼の上部から重力給油(Gravity Refuel)できる機種もある。


燃料タンク内部は金属の上にプライマーという
黄緑色っぽい表面処理が施されている。(写真↓)
またボルトやナットなどの金属がむき出しになる部分は
シーラントにより完全にカバーされているのがわかる。


この写真↑はカンタス航空A380が飛行中エンジン事故を起こした際に
飛散したエンジンタービンの一部が主翼を突き抜けた部分。
この事故で人身災害がなかったことは奇跡的だと言われている。



では燃料タンクはどのくらいの容量があるのか?
A380だと31万リットル、ドラム缶1500本分以上だとか。
↓写真は米連邦航空局(FAA/Federal Aviation Administration)の記事だが
大型機だと余裕で人が入って立てるくらい。


燃料タンクにはポンプが装備されており
配管を通してエンジンに供給されていくことになる。


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某航空会社で整備士をやってます。
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